1997年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは9月30日に開幕した。アメリカンリーグの第27回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 27th American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、10月8日から15日にかけて計6試合が開催された。その結果、クリーブランド・インディアンス(中地区)がボルチモア・オリオールズ(東地区)を4勝2敗で下し、2年ぶり5回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
この年のレギュラーシーズンでは両球団は11試合対戦し、オリオールズが6勝5敗と勝ち越していた[1]。両球団がポストシーズンで対戦するのは、前年の地区シリーズに次いで2年連続2度目。同シリーズではリーグ最高勝率球団のインディアンスをオリオールズが破ったが、1年後の今シリーズでは逆にオリオールズがリーグ最高勝率球団として出場し[2]、インディアンスに敗れた。オリオールズは、レギュラーシーズン開幕から終了まで一度も地区首位を譲らなかったにもかかわらず、ワールドシリーズ進出を逃した史上初の球団となった[注 1][3]。シリーズMVPには、第2戦の8回表に逆転・決勝の3点本塁打を放ち第3戦の延長12回裏にサヨナラの本盗を決めるなど、6試合で打率.261・1本塁打・4打点・OPS.683・3盗塁という成績を残したインディアンスのマーキス・グリッソムが選出された。しかしインディアンスは、ワールドシリーズではナショナルリーグ王者フロリダ・マーリンズに3勝4敗で敗れ、49年ぶり3度目の優勝を逃した。
試合結果
1997年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月8日に開幕し、途中に移動日を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月08日(水) | 第1戦 | クリーブランド・インディアンス | 0-3 | ボルチモア・オリオールズ | オリオール・パーク | |
10月09日(木) | 第2戦 | クリーブランド・インディアンス | 5-4 | ボルチモア・オリオールズ |
10月10日(金) | | 移動日 | |
10月11日(土) | 第3戦 | ボルチモア・オリオールズ | 1-2x | クリーブランド・インディアンス | ジェイコブス・フィールド |
10月12日(日) | 第4戦 | ボルチモア・オリオールズ | 7-8x | クリーブランド・インディアンス |
10月13日(月) | 第5戦 | ボルチモア・オリオールズ | 4-2 | クリーブランド・インディアンス |
10月14日(火) | | 移動日 | |
10月15日(水) | 第6戦 | クリーブランド・インディアンス | 1-0 | ボルチモア・オリオールズ | オリオール・パーク |
優勝:クリーブランド・インディアンス(4勝2敗 / 2年ぶり5度目) |
第1戦 10月8日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回表、インディアンスのマニー・ラミレスが放った飛球を、中堅手ブレイディ・アンダーソンがフェンス際でジャンピングキャッチ(29秒) |
その裏、アンダーソンの先頭打者本塁打でオリオールズが先制(47秒) |
3回裏、ロベルト・アロマーの2点本塁打でオリオールズが点差を3点に広げる(48秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
クリーブランド・インディアンス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 |
ボルチモア・オリオールズ | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 3 | 6 | 1 |
- 勝利:スコット・エリクソン(1勝)
- セーブ:ランディ・マイヤーズ(1S)
- 敗戦:チャド・オージェイ(1敗)
- 本塁打
BAL:ブレイディ・アンダーソン1号ソロ、ロベルト・アロマー1号2ラン - 審判
[球審]ジョー・ブリンクマン
[塁審]一塁: ジム・ジョイス、二塁: ジョン・ハーシュベック、三塁: ダーウッド・メリル
[外審]左翼: ラリー・マッコイ、右翼: マイク・ライリー - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時5分 試合時間: 2時間33分 観客: 4万9029人 気温: 75°F(23.9°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第2戦 10月9日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回表、マニー・ラミレスの2点本塁打でインディアンスが先制(56秒) |
2回裏、カル・リプケン・ジュニアの2点本塁打でオリオールズが同点に追いつく(29秒) |
8回表、マーキス・グリッソムの3点本塁打でインディアンスが逆転(1分14秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
クリーブランド・インディアンス | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 5 | 6 | 3 |
ボルチモア・オリオールズ | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 4 | 8 | 1 |
- 勝利:ポール・アッセンマッカー(1勝)
- セーブ:ホセ・メサ(1S)
- 敗戦:アーマンド・ベニテス(1敗)
- 本塁打
CLE:マニー・ラミレス1号2ラン、マーキス・グリッソム1号3ラン
BAL:カル・リプケン・ジュニア1号2ラン - 審判
[球審]ジム・ジョイス
[塁審]一塁: ジョン・ハーシュベック、二塁: ダーウッド・メリル、三塁: ラリー・マッコイ
[外審]左翼: マイク・ライリー、右翼: ジョー・ブリンクマン - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時13分 試合時間: 3時間53分 観客: 4万9131人 気温: 75°F(23.9°C)
詳細: Gameday / Baseball-Reference.com
第3戦 10月11日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
インディアンス先発投手オーレル・ハーシュハイザーが7回を7奪三振で無失点に抑える(2分16秒) |
オリオールズ先発投手マイク・ムッシーナは7イニングで15個の三振を奪う(2分3秒) |
7回裏、マット・ウィリアムズがムッシーナから適時打を放ちインディアンスが先制(1分3秒) |
9回表無死一塁、オリオールズの代打ジェフリー・ハモンズが二ゴロに打ち取られるも、一塁走者ジェフ・レボレーがタッチをかいくぐり二進(1分44秒) |
次打者ブレイディ・アンダーソンの飛球を中堅手マーキス・グリッソムが見失い、適時二塁打となってオリオールズが同点に(1分41秒) |
9回裏、ジェシー・オロスコがサヨナラの走者マニー・ラミレスを牽制球でアウトに仕留める(58秒) |
延長12回裏一死一・三塁、オマー・ビスケルがスクイズを空振りするも捕手レニー・ウェブスターがボールをこぼし、三塁走者グリッソムが生還してインディアンスがサヨナラ勝利。オリオールズはビスケルのファウルを主張も認められず(1分34秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | R | H | E |
ボルチモア・オリオールズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 8 | 1 |
クリーブランド・インディアンス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1x | 2 | 6 | 0 |
- 勝利:エリック・プランク(1勝)
- 敗戦:ランディ・マイヤーズ(1敗1S)
- 審判
[球審]ジョン・ハーシュベック
[塁審]一塁: ダーウッド・メリル、二塁: ラリー・マッコイ、三塁: マイク・ライリー
[外審]左翼: ジョー・ブリンクマン、右翼: ジム・ジョイス - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後4時17分 試合時間: 4時間51分 観客: 4万5057人 気温: 60°F(15.6°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第4戦 10月12日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
2回裏、サンディー・アロマー・ジュニアの2点本塁打でインディアンスが逆転(1分1秒) |
5回裏、マニー・ラミレスのソロ本塁打でインディアンスが1点差に詰め寄る(41秒) |
そのあと同点で二死満塁となり、アーサー・ローズが暴投して三塁走者デビッド・ジャスティスが生還。さらに捕手レニー・ウェブスターの悪送球で二塁走者S・アロマーJr.も7点目のホームを踏む(1分37秒) |
9回裏二死一・二塁、S・アロマーJr.の打球が左中間を破りインディアンスが連夜のサヨナラ勝利(1分3秒) |
第5戦 10月13日
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ボルチモア・オリオールズ | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 10 | 0 |
クリーブランド・インディアンス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 8 | 1 |
- 勝利:スコット・カミニキー(1勝)
- 敗戦:チャド・オージェイ(2敗)
- 本塁打
BAL:エリック・デービス1号ソロ
- 審判
[球審]ラリー・マッコイ
[塁審]一塁: マイク・ライリー、二塁: ジョー・ブリンクマン、三塁: ジム・ジョイス
[外審]左翼: ジョン・ハーシュベック、右翼: ダーウッド・メリル - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時11分 試合時間: 3時間8分 観客: 4万5068人 気温: 74°F(23.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第6戦 10月15日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
延長11回表、トニー・フェルナンデスのソロ本塁打でインディアンスが先制(51秒) |
その裏、ホセ・メサがロベルト・アロマーを見逃し三振に仕留めて試合終了、インディアンスのリーグ優勝が決定(26秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | R | H | E |
クリーブランド・インディアンス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 |
ボルチモア・オリオールズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 |
- 勝利:ブライアン・アンダーソン(1勝)
- セーブ:ホセ・メサ(1勝2S)
- 敗戦:アーマンド・ベニテス(2敗)
- 本塁打
CLE:トニー・フェルナンデス1号ソロ
- 審判
[球審]マイク・ライリー
[塁審]一塁: ジョー・ブリンクマン、二塁: ジム・ジョイス、三塁: ジョン・ハーシュベック
[外審]左翼: ダーウッド・メリル、右翼: ラリー・マッコイ - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後4時17分 試合時間: 3時間52分 観客: 4万9075人 気温: 57°F(13.9°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
評価
『ハードボール・タイムズ』のクリス・ジャフは2011年10月、歴代のポストシーズン各シリーズについて、面白さの数値化を試みた。「1点差試合は3ポイント、1-0の試合ならさらに1ポイント」「サヨナラゲームは10ポイント、サヨナラが本塁打によるものならさらに5ポイント」「7試合制のシリーズが最終戦までもつれれば15ポイント」などというように、試合経過やシリーズの展開が一定の条件を満たすのに応じてポイントを付与することで、主観的ではなく定量的な評価を行った。その結果、その年の両リーグ優勝決定戦まで全262シリーズの平均が45ポイントのところ、今シリーズは110.8ポイントを獲得した。これは全シリーズ中10位、リーグ優勝決定戦に限れば5位の高得点だった[4]。
脚注
注釈
- ^ 地区制導入以前も含む。レギュラーシーズン開幕から一度も首位を譲らなかった球団は過去に の5球団があり、ジャイアンツを除く4球団はその年のワールドシリーズを制している。
出典
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年5月8日閲覧。
- ^ Associated Press, "Indians Not Intimidated By Orioles Baltimore’s Big Year Doesn’t Faze Cleveland," The Spokesman-Review, October 8, 1997. 2021年5月8日閲覧。
- ^ Peter Schmuck, "'97 season in review," Baltimore Sun, October 17, 1997. 2021年5月8日閲覧。
- ^ Chris Jaffe, "The top ten postseason series of all-time," The Hardball Times, October 24, 2011. 2021年5月8日閲覧。
外部リンク
- Baseball-Reference.com(英語)
- 1997 American League Championship Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第3戦:1997 ALCS, Game 3: Orioles @ Indians
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クリーブランド・ガーディアンズ |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ガーディアンズ球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(2回) | |
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ワールドシリーズ敗退(4回) | |
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リーグ優勝(6回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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ボルチモア・オリオールズ |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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オリオールズ球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(3回) | |
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ワールドシリーズ敗退(4回) | |
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リーグ優勝(7回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - ノーフォーク・タイズ(AAA級)
- ボウイ・ベイソックス(AA級)
- アバディーン・アイアンバーズ(High-A級)
- デルマーバ・ショアバーズ(Low-A級)
- フロリダ・コンプレックスリーグ・オリオールズ(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・オリオールズ(Rookie級)
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