青枯病
青枯病(あおがれびょう、bacterial wilt disease)は、ナス科植物をはじめ200種以上の植物に感染し、食糧生産など農業上深刻な被害をもたらす病害[1]。
症状
急速に凋れて植物が青々としている状態で枯死するため、この名が付いた。青枯病は、青枯病菌が植物の維管束内で増殖し、大量に生産する細胞外多糖が維管束の通水を悪化させることから萎凋が起きる、という過程をたどる。
発病株の地際部の維管束部分には褐変がみられる[2]。また地際部の茎を切断し、その茎を水につけると、菌泥と呼ばれる白い煙のようなものが観察されるのが特徴である[2]。菌泥の正体は病原体である細菌・青枯病菌(Ralstonia solanacearum、旧学名Pseudomonas solanacearum)と、それが大量生産する細胞外多糖である。
被害
- ナス科
- ショウガ科
- ベンケイソウ科
- カランコエ(カランコエ青枯病) - 葉の黄化や落葉を生じ、重症の株は枯死する[1]。
- ツリフネソウ科
- ホウセンカ(ホウセンカ青枯病) - 地上部の急性萎凋を生じ、枯死することがある[1]。
対策
耕種的・物理的防除と薬剤防除がある[3]。なお、管理作業中に発病株に接触した刃物や手指でも感染するため消毒を要する[2]。
耕種的・物理的防除
- 青枯病抵抗性台木を使用した接ぎ木栽培[3]。通常の接ぎ木栽培でも発病がみられる場合には高接ぎ木栽培(台木の本葉2葉上以上で接ぎ木)が行われる[3]。
- 高畝や額縁明渠など圃場の排水対策の徹底[2][3]
- 発病株の速やかな除去[3]
薬剤防除
臭化メチルによる土壌燻蒸が最も有効だとされてきたが、臭化メチルがオゾン層破壊ガスの一種だとして使用が制限されるようになったため、これに代替する防除法の開発が求められている。
クロルピクリン錠剤の深耕混和処理や、糖蜜を利用した土壌還元処理などが行われる[3]。
出典
- ^ a b c d 土屋健一、堀田光生、曳地康史. “最近の青枯病の話題と問題点”. 植物防疫第54巻第3号(2000年). 2022年8月9日閲覧。
- ^ a b c d “青枯病”. 広島県. 2022年8月9日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “トマト青枯病”. 山口県. 2022年8月9日閲覧。
関連項目
- つる割病 - 青枯病同様、病原菌は土中に長期にわたって潜伏する。よって、接木が有効。
外部リンク
- トマト 萎ちょう病・青枯病 - 大阪府環境農林水産総合研究所
- 青枯病、軟腐病 - 島根県農業技術センター
- トマト青枯病 - 武蔵野種苗園
- 青枯病 - 住友化学園芸
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