山岳鉄道
山岳鉄道(さんがくてつどう)とは山岳地帯を走る鉄道である。山岳鉄道特有の急勾配急曲線等の路線を走るため、車両は特殊な構造が多い。急曲線を通過するためや、建設経費削減のため、山岳鉄道の軌間には狭軌が多い。
鉄道は車輪とレールの粘着力(摩擦力)によって推進するが、山岳鉄道は急斜面を走るため、重力が粘着力を上回ることにより、列車が線路を登り降りできない可能性がある。実際にはこの粘着力が山を登る時よりも、降るときのブレーキの能力にも影響し、急勾配で降るいくつかの山岳鉄道はレール、車輪は標準であるが、電磁吸着ブレーキなどの強力なブレーキを使用する。
また、通常の車輪とレールでは登ることが困難な急勾配ではラック式鉄道が用いられる場合もある。実用例は少ないが、ラック式の代わりにフェル式が利用されることもあった。それでも登るのが困難な場合、ケーブルカーが用いられることが多い。
世界の山岳鉄道一覧
イギリス
- ケアンゴーム登山鉄道
- スノードン登山鉄道
イタリア
- スパーガ・ラック鉄道
オーストリア
- ゼメリング鉄道
- マリアツェル鉄道
- ペストリングベルク鉄道 (Pöstlingbergbahn)[1]
- シャフベルク鉄道 (Schafbergbahn)
- シュネーベルク登山鉄道 (Schneebergbahn)
ギリシャ
- ディアコフト・カルヴリタ鉄道
スイス
- アッペンツェル鉄道
- ラウターブリューネン・ミュレン登山鉄道
- レイネック・ウォルツェンハウゼン登山鉄道
- ベルン・ロッシュベルグ・シンプロン鉄道
- ベルナーオーバーラント鉄道
- ブリエンツ・ロートホルン鉄道
- エーグル・レイジン鉄道
- エーグル・オロン・モンスィー・チャペリィ鉄道
- Chemin de fer Aigle-Sépey-Diablerets
- en:Chemin de fer Bex-Villars-Bretaye
- en:Chemins de fer Electriques Veveysans
- en:Chemin de Fer de Martigny au Châtelard
- en:Chemin de fer Martigny-Orsières
- en:Chemin de fer Montreux-Glion-Rochers-de-Naye
- Chemin de fer Nyon-St-Cergue-Morez
- エメンタール・ブルグドルフ・スン鉄道
- ゴルナーグラート鉄道
- ゴッタルド鉄道
- ユングフラウ鉄道
- マッターホルン・ゴッタルド鉄道
- モンテジェネロッソ鉄道
- モントルー・オーバーランド鉄道
- ピラトゥス鉄道
- レーティッシュ鉄道
- フィッツナウ・リギ鉄道
- ロッシュアシュ・ハイデン鉄道
- シーニゲ・プラッテ鉄道
- トロゲネル鉄道
- ウェトリベルグ鉄道
- ワーデンズウィル・エインズィエデルン鉄道
- ウェンゲルナルプ鉄道
- ツェントラル鉄道
スペイン
- モンセラット登山鉄道
- バルデヌリア登山鉄道
ドイツ
- ベルシュテスガデーナー鉄道
- ドラッシェンフェルス鉄道
- ハーザー・シュマルシュプール鉄道
- マルグタル鉄道
- ウェンデルステイン鉄道
- ツークスパイツェ鉄道
ノルウェー
フランス
マン島
- スネーフェル登山鉄道
詳細は「フェル式鉄道」を参照
インド
中国
- 青蔵鉄道
- 都江堰——四姑娘山登山鉄道(中国語版)
台湾
日本
「登山鉄道」も参照
- 小田急箱根鉄道線(旧:箱根登山鉄道)
- 大井川鐵道井川線 アプトいちしろ - 長島ダム
- 1990年に長島ダム建設に伴う線路付け替えに伴い開業。
- 信越本線 横川 - 軽井沢(通称:横軽)
- 1893年に開業、1963年まではアプト式のラックレールを採用。以降は粘着式を採用したが1997年に廃止された。
オーストラリア
- グレンリア山岳鉄道
- スキーチューブ アルパイン鉄道
- ウエストコーストワイルダネス鉄道
ニュージーランド
- リムタカ鉄道(1878年開業→1955年廃止)
南北アメリカ大陸
アメリカ合衆国
- マニトウ・パイクスピーク登山鉄道(英語版)
- マウント・ロウ鉄道(英語版)(1893年開業→1938年廃止。アメリカ合衆国国家歴史登録財指定)
- ワシントン山登山鉄道(英語版)(コグ鉄道)
カナダ
- ブリティッシュコロンビア鉄道
コロンビア
- コロンビア国鉄
- アンデス山脈の北端を縫うように線路がひかれているが、同国の内戦の影響により列車の運行はわずかとなっている。
アルゼンチン・チリ
- アリカ・ラパス鉄道(チリ側)
- アントファガスタ・ボリビア鉄道 (チリ側)
- アンデス横断鉄道
- アルゼンチンのメンドーサとチリのロスアンデスを結ぶ鉄道。大規模な落石の被害により1984年から国境である峠越えの運行を休止し、両国とも峠の手前までの運行となっている。
ブラジル
- コルコバード・ラック式鉄道
- サントス・ジュンジャイ鉄道
- セーハ・ヴェルジ・エクスプレス[2]
- クリチバを発着する観光列車で、3つの路線で運行されている。
ボリビア
- アリカ・ラパス鉄道(ボリビア側)
- 一部区間で運行休止中。
- アントファガスタ・ボリビア鉄道(ボリビア側)
ペルー
- ペルー中央鉄道
- ペルーレイル (1,435 mm/914 mm)
- ペルー南部の都市や観光地を結ぶ。
脚注
関連項目
外部リンク
- RAIL-INFO SWITZERLAND (英語)