ジョン・バーニンガム

ジョン・バーニンガム
生誕 (1936-04-27) 1936年4月27日
イギリスの旗 イギリス・サリー・ファーンハム(英語版)
死没 (2019-01-04) 2019年1月4日(82歳没)
イギリスの旗 イギリスロンドン
職業 作家、イラストレーター
配偶者 ヘレン・オクセンバリー(英語版)
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ジョン・バーニンガム英語: John Burningham、1936年4月27日 – 2019年1月4日)は、イギリス児童文学、特に幼児向け絵本の作家、イラストレーター[1]。同じくイラストレーターの妻・ヘレン・オクセンバリー(英語版)とロンドン北部に住んでいた[2]。最後に出版された作品は、夫婦共作の『あかちゃんがやってくる』(: There's Going to Be a New Baby、2011年9月にウォーカー・ブックス(英語版)により出版。2歳以上向け。)である[3][4]

バーニンガムは1963年と1970年にイギリスの児童書の挿絵に対して贈られるケイト・グリーナウェイ賞を受賞している[5][6]。最初の受賞は彼のイラストレーター(かつ作家)としてのデビュー作である『ボルカ はねなしガチョウのぼうけん(英語版)』(: Borka: The Adventures of a Goose with No Feathers)で、後に同賞の50周年(1955~2005年)の受賞作品トップ10に選ばれた[7]。2回目の受賞は1970年に出版された『ガンピーさんのふなあそび(英語版)』(: Mr Gumpy's Outing)で、同書はWorldCatに参加している図書館に最も多く所蔵されており[8]、絵本の分野に対して毎年贈られているボストングローブ・ホーンブック賞(英語版)も受賞している[9]

児童書のイラストレーターとしての永続的な貢献が認められ、2012年と2014年には、2年に1度、児童書のクリエイターに贈られる最高の賞である国際アンデルセン賞の最終選考に残った5、6人のうちの1人に選ばれた[10][11][12]。1980年と1986年にはイギリス代表候補に選ばれている[13]

略歴

バーニンガムは1936年4月27日、イギリス・サリー州のファーンハム(英語版)でチャールズとジェシー(マッキントッシュ)・バーニンガムの間に生まれた[3][14]。彼はオルタナティブスクール(英語版)であるサマーヒル・スクールで教育を受けた[4]。バーニンガムが1964年に出版した児童書『ジョン・バーニンガムのabc』(: John Burningham's ABC)は、サマーヒル・スクールの創設者であり、かつての教頭であったA・S・ニイルに捧げられている。当時、著者がニイルに宛てた『I managed to pick up the alphabet upon leaving Summerhill.』という手紙は有名である。徴兵制度で召集された際には、良心的兵役拒否者として登録し、林業や住宅事業に従事した[15]。彼は20歳でセントラル・スクール・オブ・アート・アンド・デザイン(英語版)(現在はセントラル・セント・マーチンズに併合)に入学し、1959年に卒業した[4]。 ロンドンや英国運輸委員会(英語版)のポスターやアニメーション映画を手がけた後[14]、バーニンガムは1963年に[16]ジョナサン・ケープより出版された絵本『ボルカ はねなしガチョウのぼうけん(英語版)[17]の著者およびイラストレーターとしてデビューした。この功績により、彼は1963年に図書館情報専門家協会から、英国民(英語版)によるその年の最も優秀な絵本の画家に対して贈られるケイト・グリーナウェイ賞を受賞した[3][5]。ケイト・グリーナウェイ賞50周年の際には、有識者委員会が「ボルカ」を受賞作品のトップ10のうちの1つに選出し、国民による人気投票が行われた[7]

ケープ社は、当時最も売れっ子だったイアン・フレミングが執筆していた『チキ・チキ・バン・バン』という子供向け冒険小説の挿絵をすぐに描ける人物を探していた[18]。フレミングは『デイリー・メール』の漫画家・トログ(Trogウォーリー・フォークス(英語版))を推薦していたが、同紙はライバルである『デイリー・エクスプレス』で『ジェームズ・ボンド』の物語が漫画化された際に作画を担当していたため、人気だったコミック・ストリップフルック(英語版)』の作者であるトログが仕事をすることを許さなかった。フレミングは自動車技士の友人であったアマースト・ヴィリアーズ(英語版)に相談し、彼はフレミングの魔法の車の説明を元にスケッチを描いた。この絵はケープ社の人気新人イラストレーター、ジョン・バーニンガムに渡され、彼はデビュー作「ボルカ」の出来栄えから、シリーズ全体のイラストを依頼された。『チキ・チキ・バン・バン』は1964年から1965年にかけて全3巻で出版され、1968年にはオムニバス版が出版された。バーニンガムのウィットに富んだ時代を超越したアートワークは、フレミングの想像力豊かな文章とともに、『チキ・チキ・バン・バン』を英語小説の中で最も有名で最も愛される車へと導いた[19]

1964年、バーニンガムは作家兼イラストレーターのヘレン・オクセンバリー(英語版)と結婚し[14]、ヘレンは1969年のケイト・グリーナウェイ賞を受賞した。翌年の1970年には『ガンピーさんのふなあそび(英語版)』でイラストレーターとして初めて2度のケイト・グリーナウェイ賞の受賞を果たした[6][20]。その後、ヘレンは4度準グランプリに輝き、最終的には1999年にウォーカー社から出版された『不思議の国のアリス』で2度目のケイト・グリーナウェイ賞を受賞し、この作品はアニバーサリー・トップ10にも選ばれた[7][20]

バーニンガムは他にも60冊以上の本に寄稿しており[4]、『ねえ、どれがいい?(Would you rather ...)』(ジョナサン・ケープ、1978年、ISBN 0-224-01635-0)のドイツ語版である『Was ist dir lieber ...』(ISBN 3-7941-5094-5)で1980年のドイツ児童文学賞(絵本部門)を受賞したのをはじめ、多くの賞を受賞している[要出典]Google ブックスでは『ねえ、どれがいい?』について「『どれなら食べられる?クモのシチュー、かたつむりのおだんご、虫のおかゆ、へびのジュース。』」といったコミカルな選択の連続は、(子供を)眠りへと誘う。」と評されている。

1984年に出版された『おじいちゃん(Granpa)』の作・絵の両方で、エミール/クルト・マッシュラー賞を受賞した。この賞は、1982年から1999年まで毎年、英国で出版された「テキストとイラストレーションが合わさり、それぞれが他方を引き立ててバランスをとっている想像力豊かな児童文学作品」1冊を表彰するものであった[21]。この作品は、1989年にアニメーション映画グランパ すてきなおじいちゃん(英語版)』として映画化された。

2012年、バーニンガムは2年に1度開催される国際アンデルセン賞の最終選考に残った5人のうちの1人となった。この賞は「その全作品が児童文学に永続的な貢献をしたイラストレーター」に贈られるものであった。国際児童図書評議会に所属する30の国内部門が、バーニンガムを推薦した。評議員からは「英国のジョン・バーニンガムは、無邪気さと真剣さが入り混じった繊細な皮肉を使い、線と色彩を駆使することで、読者との親密さを生み出している。」と評された[11]

バーニンガムは2019年1月4日、肺炎のためロンドンで亡くなった。82歳没[15][22]

主な作品

バーニンガムは、出版された本のほとんど全てを執筆し、イラストも描いている。例外についてここに記した[4]

  • ボルカ はねなしガチョウのぼうけん(英語版)』(ジョナサン・ケープ、1963年)
  • 『ABC』(『ジョン・バーニンガムのabc』)(ジョナサン・ケープ、1964年)
  • イアン・フレミングチキ・チキ・バン・バン』(ジョナサン・ケープ、全3巻、1964年10月から1965年1月)
  • レッタ・シャッツ(Letta Schatz)再編『つなひき(The Extraordinary Tug-of-war)』(Follett、1968年)
  • 『はるなつあきふゆ(Seasons)』(ジョナサン・ケープ、1969年)
  • ガンピーさんのふなあそび(英語版)』(ジョナサン・ケープ、1970年)
  • 八十日間世界一周』(ジョナサン・ケープ、1972年)
  • 『ガンピーさんのドライブ(Mr Gumpy's Motor Car)』(ジョナサン・ケープ、1973年)
  • 『なみにきをつけて、シャーリー(Come away from the water, Shirley)』(ジョナサン・ケープ、1977年)
  • 『もうおふろからあがったら、シャーリー(Time to get out of the bath, Shirley)』(ジョナサン・ケープ、1978年)
  • ケネス・グレアムたのしい川べ』(Kestrel、1983年) - 1908年に出版された古典的名著の改訂版
  • 『おじいちゃん(Granpa)』(ジョナサン・ケープ、1984年)
  • 『あかちゃんがやってくる(There's Going to Be a New Baby)』(ウォーカー・ブックス(英語版)、2011年) - イラストは彼の妻であるヘレン・オクセンバリーが担当し、夫妻による初のコラボレーションとなった[4]

日本では、特に谷川俊太郎の翻訳による絵本が多数出版されている。

バーニンガムに関する著作

  • John Burningham (2009). John Burningham. ジョナサン・ケープ. ISBN 9780224083669. OCLC 310154683. http://www.worldcat.org/oclc/310154683 
  • Douglas Martin (1989). “John Burningham”. The Telling Line: Essays on Fifteen Contemporary Book Illustrators. Julia MacRae Books. pp. 215-227. ISBN 9780385300483. OCLC 20016695 

出典

  1. ^ “John Burningham” (英語). ブルームズベリー出版(英語版). 2024年8月17日閲覧。
  2. ^ “Helen Oxenbury” (英語). Fresh Fiction. 2024年8月17日閲覧。
  3. ^ a b c “John Burningham” (英語). ウォーカー・ブックス(英語版). 2024年7月26日閲覧。
  4. ^ a b c d e f “John Burningham” (英語). British Council: Literature. 2013年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  5. ^ a b “Living Archive: Celebrating the Carnegie and Greenaway Winners (Greenaway Winner 1963)” (英語). 図書館情報専門家協会. 2013年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  6. ^ a b “Living Archive: Celebrating the Carnegie and Greenaway Winners (Greenaway Winner 1970)” (英語). 図書館情報専門家協会. 2013年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  7. ^ a b c “70 Years Celebration: Anniversary Top Tens - The CILIP Carnegie & Kate Greenaway Children's Book Awards” (英語). 図書館情報専門家協会. 2016年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  8. ^ “著者「John Burningham」での検索結果”. WorldCat. 2024年8月17日閲覧。
  9. ^ “Boston Globe–Horn Book Awards: Winners and Honor Books 1967 to present” (英語). The Horn Book. 2012年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月26日閲覧。
  10. ^ “IBBY Announces the Short List for the 2012 Hans Christian Andersen Awards.” (英語). 国際児童図書評議会. 2024年8月17日閲覧。
  11. ^ a b “The Hans Christian Andersen Award Jury of IBBY Announces the 2012 Short List” (英語). Raab Associates (2012年3月6日). 2012年7月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  12. ^ “The Hans Christian Andersen Award Jury Announces the 2014 Shortlist” (英語). 国際児童図書評議会. 2024年8月17日閲覧。
  13. ^ “Candidates for the Hans Christian Andersen Awards 1956–2002” (英語). オーストリア文学オンライン(英語版). ギルデンダル(英語版). pp. 110-118. 2024年8月17日閲覧。
  14. ^ a b c “Picture Books Author of the Month: John Burningham” (英語). Greenville Public Library entry. 2016年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  15. ^ a b Flood, Alison (2019年1月7日). “John Burningham, children's author and illustrator, dies aged 82” (英語). ガーディアン. https://www.theguardian.com/books/2019/jan/07/john-burningham-childrens-author-and-illustrator-dies-aged-82 2024年8月4日閲覧。 
  16. ^ “John Burningham” (英語). The British Library. 2008年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  17. ^ Borka ... 40th Anniversary Edition” (英語). Biblio.com. 2024年8月17日閲覧。
  18. ^ Howard, Michael. Jonathan Cape, Publisher (Cape, 1971).
  19. ^ John Burningham (2011) (英語). John Burningham: An Illustrated Journey. Fleming-Wyfold Art Foundation. ISBN 9780954513795 
  20. ^ a b “Kate Greenaway Medal - Curriculum Lab. Elihu Burritt Library.” (英語). セントラル・コネチカット州立大学(英語版). 2014年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月17日閲覧。
  21. ^ “Kurt Maschler Awards” (英語). bizland.com. 2024年8月17日閲覧。
  22. ^ Genzlinger, Neil (2019年1月13日). “John Burningham, Author Who Piqued Young Imaginations, Dies at 82” (英語). ニューヨーク・タイムズ. https://www.nytimes.com/2019/01/13/obituaries/john-burningham-dies-at-82.html 2024年7月26日閲覧。 

外部リンク

  • ジョン・バーニンガム - British Council: Literature
  • ジョン・バーニンガム - IMDb(英語)
  • “John Burningham: Nicolette Jones meets the children's writer and illustrator” (英語). デイリー・テレグラフ. (2009年5月22日). https://www.telegraph.co.uk/culture/books/5369238/John-Burningham.html 
  • “Flights of fancy: It's 40 years since Borka ...” (英語). ガーディアン. (2003年3月7日). https://www.theguardian.com/books/2003/mar/08/booksforchildrenandteenagers 
  • “John Burningham – a life in pictures” (英語). ガーディアン. (2011年3月21日). https://www.theguardian.com/childrens-books-site/gallery/2011/mar/21/john-burningham-illustrator-pictures 
  • John Burningham - Library of Congress Authorities, with 97 catalogue records
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